神様がくれたプレゼント
「翔?」

「何?」

「翔は、私だけ?」

「どういう意味?」

「だから、私1人だけを好きって言ってるの?」

「俺は遊びで付き合ったりしないよ」

「モテるのに?」

「信じられない?」

「不安だよ。さっきの女の人もそうだし、前に会ってた女性もいたし、翔の周りには綺麗な女性たくさんいるでしょ?」

「いるよ、たくさん。俺の周りには昔から綺麗な女性はいた。でも、1度も好きになったことなんてなかった。皆、外見で俺を好きになるから。俺のことを全部好きになってほしかった」

「でも中にはいたんじゃないの?翔のこと全部好きだっていう人」

「わからない。もしかしたらいたかもしれない。でも俺が好きにならなかった。恋愛に興味がなかったわけじゃないよ。でもそれより歌手として頑張ることのほうが必死だった。今だって毎回ヒットさせるのが当たり前になってるし、プレッシャーは常にある。美桜に会ったのは、本当偶然だった。あっ、そう言えばちゃんと話してなかったね。美桜を初めて見かけたのは、俺がコンビニに、行こうと思って玄関のドアを置けたとき。隣から泣きそうで、でも泣かないで上を向いて歩く美桜に見惚れた。この時、俺は、一目惚れしたんだと思う。」

ちょっと照れながら話す翔が可愛くて…。思わず微笑んでしまった。

「翔は、隣の部屋に住んでいたの?」

私は驚いていた。じゃぁ、元カレに怒鳴られているのも知ってたんだ。

「うん。偶然。あまり帰ってなかったからね。今回、今の家に引っ越すことが決まって、ちょうど帰ってたんだ。それでたまたま見かけたんだ」

「そうだったんだぁ。何か恥ずかしいところ見られてたんだね」

「恥ずかしくなんかないよ。美桜に悪いところなんてないんだから」

優しく私の頭を撫でてくれた。

「…ひっ、…っく…」

私は泣いていた。


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