かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
　わかってほしくて言葉を並べていく中で、疑問が浮かぶ。どうして私、こんなに必死に言い訳しているんだろうって。

　なぜか将生を悲しませたくない、嫌な思いをさせたくないって思っちゃったんだ。

　私の話を聞いて少し車を走らせると、将生は突然ハザートランプを点灯させて路肩に車を停めた。

　そして力が抜けたように、深く息を吐きながらハンドルに突っ伏した。

「カッコ悪いな、俺」

「えっ？」

　彼は顔を上げることなく、力ない声で言う。

「初めて好きになる相手は、俺がいいって言ってくれた小毬の気持ちを信じようと決めたんだ。だから同期会に行くって聞いても、本当は行かせたくない気持ちを必死に抑えて笑顔で送り出した。……それなのにやっぱり心配になって、女々しく終わるのを待っていてさ」

　再び深いため息を漏らし、ボソボソと将生は続ける。

「さっきも余裕を失った。もしかしたら小毬が好きな男かもしれないと思ったら、身体が勝手に動いていて、『俺の妻』だなんて言って……。今だってそう。事情を聞いて理解しているし、小毬が俺との結婚を隠して会社で働いている理由にも納得した。……だけど小毬が俺以外の男を好きになったらどうしようと考えると、不安でたまらなくなる」

「将生……」

　彼の切実な思いを聞き、胸が苦しい。
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