かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
『想いが溢れる 将生SIDE』
 トーストした食パンにからしマヨネーズを塗り、たっぷりの千切りキャベツの上に揚げたてのカツを乗せる。

 そしてパンでサンドし、形が崩れないよう、ラップで包んでから食べやすい大きさにカットした。

「よし、うまくできた」

 次にアボカドサラダ作りにとりかかる。

 GW初日。俺は朝からキッチンに立ち、昼食の準備に追われていた。

「将生、部屋の掃除が終わったから手伝うよ」

「じゃあトマトときゅうりを切ってもらっていいか?」

「まかせて」

 そう言うと小毬はお気に入りのエプロンをつけて手を洗い、隣でトマトを切りはじめた。

 こういった些細なことで一々ドキッとしてしまう俺は、小毬のことが好きすぎてヤバいのかもしれない。

 必死によこしまな感情を払拭して、スープ作りに取りかかった。

 今日は十一時半に小毬の親友、吉井が訪ねてくる。小毬が言うには、俺たちの新居を見たいと言っていたらしいが、恐らく……いや、間違いなく今の俺を見るのが目的だろう。

 昔から吉井は小毬の親友であり、保護者のような一面もある。世話好きな性格のようだが、小毬に対する愛情はそれ以上のものだと思う。

 そんな吉井に俺は嫌われている。それもかなり。

 俺も吉井のことは正直好かないし、お互い様だと思うが、感情をもろに表に出すのはどうかと思う。
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