かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
いつどこの誰かに、彼女の心を奪われる可能性は大いにあるのだから。
それに小毬は、俺が幼い頃からなにひとつ勝てたことがない兄さんの秘書として働いている。
兄さんはずっと俺と小毬を応援してくれていた。時折、俺たちの関係を羨ましがることもあった。
だけど平日は俺と過ごすより、兄さんと過ごす時間のほうが長いんだ。小毬も兄さんも、お互い意識していなかったのに、気持ちが変わることだってあるはず。
そう思うと、本当にウカウカなどしていられない。
サンドイッチとサラダをテーブルに運んでいると、小毬に案内されて吉井が部屋に入ってきた。
「将生、由良が来たよ」
上機嫌の小毬に続いて部屋に入るや否や、吉井は俺を見て足を止めた。そして幽霊でも見たような顔で見つめてくる。
「由良、どうしたの?」
なんとなく吉井の考えていることが理解できた時、小毬に声をかけられた途端、吉井は声を上げて笑い出した。
「アハハハッ……! まさか来て早々エプロン姿を拝めるとはっ……! どうしよう、すごく似合わないんだけど!」
来て早々失礼なことを言って大笑いする吉井に、怒りで顔の筋肉がひくひくと動く。
それに小毬は、俺が幼い頃からなにひとつ勝てたことがない兄さんの秘書として働いている。
兄さんはずっと俺と小毬を応援してくれていた。時折、俺たちの関係を羨ましがることもあった。
だけど平日は俺と過ごすより、兄さんと過ごす時間のほうが長いんだ。小毬も兄さんも、お互い意識していなかったのに、気持ちが変わることだってあるはず。
そう思うと、本当にウカウカなどしていられない。
サンドイッチとサラダをテーブルに運んでいると、小毬に案内されて吉井が部屋に入ってきた。
「将生、由良が来たよ」
上機嫌の小毬に続いて部屋に入るや否や、吉井は俺を見て足を止めた。そして幽霊でも見たような顔で見つめてくる。
「由良、どうしたの?」
なんとなく吉井の考えていることが理解できた時、小毬に声をかけられた途端、吉井は声を上げて笑い出した。
「アハハハッ……! まさか来て早々エプロン姿を拝めるとはっ……! どうしよう、すごく似合わないんだけど!」
来て早々失礼なことを言って大笑いする吉井に、怒りで顔の筋肉がひくひくと動く。