かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
本当にばれたのが野沢君でよかった。でも今後は誰にも気づかれないようにしないと。
コーヒーを飲んでいると、視線に気づいた。顔を上げると野沢君は私の左手を指差す。
「結婚指輪は、いつも会社に行く前に外しているの?」
「あっ……うん、そうなの」
しまった、外してくるの忘れてた。いつも会社に着く前に外していたから。
そそくさと外してバッグにしまうと、野沢君はしみじみと話し出した。
「それにしても荻原の旦那さん、すごいよな。同い年なんだろ? それなのに大学生のうちに起業して、今では会社の社長とか。おまけにカッコよかったし」
「えっと……」
なんて答えたらいいのやら。自分のことを褒められたわけではないのに、恥ずかしくなる。
「なにより、産まれる前から結婚することが決まっていたんじゃ、俺につけ入る隙なんてまったくないな」
「――え」
サラリと言うと、野沢君は目を細めた。
「気づかなかった? 俺、入社式の時から荻原のこといいなって思っていたんだ。だから社内ではいつも荻原のことを探していたし、見つけたら少しでもいいから話したくて声をかけていたんだけど……」
「え……えっ!?」
まったく思いもしなかったことに、頭の中はパニック状態。
コーヒーを飲んでいると、視線に気づいた。顔を上げると野沢君は私の左手を指差す。
「結婚指輪は、いつも会社に行く前に外しているの?」
「あっ……うん、そうなの」
しまった、外してくるの忘れてた。いつも会社に着く前に外していたから。
そそくさと外してバッグにしまうと、野沢君はしみじみと話し出した。
「それにしても荻原の旦那さん、すごいよな。同い年なんだろ? それなのに大学生のうちに起業して、今では会社の社長とか。おまけにカッコよかったし」
「えっと……」
なんて答えたらいいのやら。自分のことを褒められたわけではないのに、恥ずかしくなる。
「なにより、産まれる前から結婚することが決まっていたんじゃ、俺につけ入る隙なんてまったくないな」
「――え」
サラリと言うと、野沢君は目を細めた。
「気づかなかった? 俺、入社式の時から荻原のこといいなって思っていたんだ。だから社内ではいつも荻原のことを探していたし、見つけたら少しでもいいから話したくて声をかけていたんだけど……」
「え……えっ!?」
まったく思いもしなかったことに、頭の中はパニック状態。