かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました

「初めて嫉妬すると抱く感情も知った。……でも、こんなタイミングで将生のことを好きだって気づきたくなかったよ」

「えっ、ちょ、ちょっと待って。小毬、一度落ち着いてわかるように説明してくれる？」

　混乱している由良に、泣きながら将生とのこと、自分の気持ちに気づいたことを話すと、途端に怒り出した。

「なにそれ！　村瀬の分際で浮気だと!?　許せない！　小毬、浮気現場に乗り込むよ!!」

「えっ？　あ、由良!?」

　すごい剣幕に圧倒され、涙も止まってしまった。そして本気で乗り込むつもりなのか、出掛ける準備をはじめた由良にギョッとなる。

「由良、待って！」

　慌てて立ち上がり彼女に飛びついて、必死に動きを封じ込める。

「待たない！　だって許せるわけないでしょ!?　小毬のことを好きだ、大切にするって言っていたのに、あっさり裏切るなんて……っ！」

　由良の言葉にズキッと胸が痛む。

「違うよ、由良。裏切ったとかじゃない。……私は最初から将生に愛されていなかったんだよ」

「小毬……」