かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
　事情を説明すると、将生は目を丸くさせた。

「やっぱり俺との結婚生活が嫌になったから、指輪を置いて出ていったんじゃないのか？」

　そう思われちゃっていたんだ。

　混乱している将生にハッキリ伝えた。

「違うよ」

　将生との生活が嫌になるわけないじゃない。

「え……じゃあどうして急に吉井の家に泊まり、俺との食事にも行けないって言ったんだ？　やっぱり俺のことが嫌いになったからじゃないのか？」

「それは……」

　これから将生に自分の想いを告げるのかと思うと緊張する。……でも将生は何度も私に伝えてくれた。私もちゃんと伝えたい。

　バクバクとうるさい心臓を鎮めるように一度深呼吸をして、真っ直ぐ将生を見つめた。

「一昨日の夕方、私が電話をかけたのを覚えている？」

「あぁ」

「あの時、偶然見ちゃったの。……将生と沢渡さんがいるところを。沢渡さんが将生の秘書だって知らなかったから、仕事だと嘘をついて浮気していると思って……それで由良の家に泊めてもらったの」

　事情を説明すると将生は一瞬フリーズするも、いつになく声を荒らげた。

「浮気って……！　そんなことするわけないだろ!?　……いや、でもそっか。今までの俺ならあり得ると思うよな」

　将生は納得して頭を抱える。だけどすぐにハッとし、ジッと私を見つめた。
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