かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
「今までずっと自分の気持ちを押し付けてばかりでごめん。……そのくせ言葉足らずだったよな。本当に悪かった」

 彼女の手を握り、自分の想いを伝えた。

「俺、本当に小毬のことが好きで、こうして結婚できて幸せなんだ。……結婚式の時に誓った言葉に嘘はない、絶対に幸せにする」

「将生……」

 瞬きすることなく俺を見つめる小毬が可愛くて、頬が緩んだ。

「あんなことをしておいて今更だけど……小毬が俺を好きになってくれるまで抱かないから。今度はちゃんと両想いになってから抱きたい」

 はっきりと自分の気持ちをぶつけると、小毬はおもしろいほど顔を真っ赤にさせた。そしてどう答えたらいいのか迷っているようで、忙しなく視線を泳がせる。

 困らせたいわけじゃない。ただ俺は小毬を幸せにしたいだけ。でもそのためには、小毬にも同じ気持ちになってもらわないと、俺が幸せにすることは叶わない。

「もう昔みたいに恥ずかしがらずに、自分の気持ちを伝えていくから。だからこのままずっと俺のそばにいてほしい。……そして早く俺を好きになって」

 小毬に対する気持ちが溢れ出し、我慢できずにそっと額にキスを落とした。

「……っ!? 抱かないって言ったのに……っ」
< 29 / 265 >

この作品をシェア

pagetop