かりそめ夫婦のはずが、溺甘な新婚生活が始まりました
 だけど将生にプロポーズされて、結婚を受け入れたのは私自身の決断だ。

「でも今は違うから。将生とは将来を添い遂げるつもりで結婚したし、これから自分の気持ちとしっかり向き合いたいと思ってる」

「えっ?」

 顔を上げた将生に、必死に想いを伝えていく。

「まだ人を好きになる気持ちがどういうものなのかも、将生を好きになれるかもわからない。……だから将生のことをもっと知りたいし、その……初めて好きになる人は、将生がいい」

 これが今の私の正直な気持ち。将生とは幼い頃からずっと一緒だった。途中、いろいろあったけど私のことをずっと想ってくれていた将生を、好きになりたいと心から思う。

「それと将生にも私のことを知ってほしい。……だって私たち、小学校高学年の頃からまともに話していないでしょ? これからは将生と昔のようにいろいろな話がしたい。将生の笑った顔、私にもたくさん見せて」

「小毬……」

 きっと私も、将生の笑った顔や喜ぶ姿を見るだけで幸せな気持ちになれる気がするの。そうやって将生との関係を深めて、そして好きになっていきたい。
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