Serious Finght ー本気の戦いー
深夜0時。
どこかの路地裏で騒がしい物音がする。いつもは猫が徘徊する場所だが今日は人間の気配がする。
いつもは聞こえない叫び声、金属音、嘲笑う声。その正体は、青火高等学校の生徒であり、不良のメンバー
女番長 森崎美咲(モリザキミサキ)
副番長 星空夜月(ホシゾラユヅキ)
同じく副番長 花蝶実樹(カチョウミキ)である。
【美】「おい、私達にケンカ売る度胸ある癖になんで弱ぇんだよ。」
彼女の言葉でケンカを売ったチンピラ共は氷ついた。
彼女はとても強くケンカに対しては本気だ。少し、言葉足らずな一面もあるが根は真面目である。
横から、鉄パイプを持ってチンピラ達の頭を軽く叩いている彼女が、
【夜】「美咲しょうが無いよ。こいつらケンカ売ればかっこいいとしか思って無い能無しだからね。ね?そうでしょ?」
彼女もまたチンピラ達に煽りを入れる。
チンピラ達は怯えたまま、彼女達が目を離した隙に逃げて行ってしまった。
【実】「あ~ぁ。逃げちゃった。」
と言いながら実樹は手に持っていたイチゴミルクを飲み始めた。
美咲は、
【美】「いいんだよ。あんなクソみたいな奴らの相手したって、私達のレベルが上がんないし」と言いながら路地裏を出ようと進んだ。しかし2、3歩進みその場で止まってしまった。
その行動に違和感を覚えた夜月は、美咲に、
【夜】「美咲?どうした?」と問いかけたが、美咲の返事がなかなか帰ってこない。やっと喋ったかと思えば、いつもの声とは違う低い声で彼に向かってこう言った。
【美】「あんたずっと前から見てたの?」
美咲に話しかけられた彼は、手にコンビニの袋を持っていた。彼の名は黒瀬斗真(クロセトウマ)である。彼は、今年の春から教師になる。そして明日が赴任する高校の入学式であった。
斗真は彼女達に対して、
【斗】「き、君たち、高校生だよね……?こんな夜遅くに何してるの……?」と言ったが、その声は震えていた。大人なのに高校生ごときにビビっている自分が情けなかった。
美咲は彼を睨みつけながら、
【美】「あんたに関係ないだろ。」と言った。
すると斗真が、教師としての意地を彼女達に見せつけるように勇気を振り絞って、
【斗】「関係なくないよ!君たちはまだ高校生だろ?それに女の子だ。もし変な人に捕まったリしたら……」と言いかけたとき、美咲の後ろにいた夜月が出てきた。
彼女の目は猛襲のように鋭かった。
彼女は、
【夜】「あんたには関係ない。私達は不良。それにあんたが口出しできるような関係じゃないでしょ。ふたりとも行こ。」と言い放った。
ふたりは彼女のあとに続いてその場を立ち去った。
斗真は、彼女に反論出来ずにその場にしゃがみ込んだ。
(これが今時の高校生?いや違う。あの子達は不良って言ってたな……。どうしよう、俺が赴任する高校の生徒だったら……)斗真はそんな事を考えながら、しゃがみ込んでいたところから立ち、自分の家へと帰って行った。

#視点変更
夜月の歩くスピードが徐々に遅くなった。
左隣にいた実樹が、
【実】「夜月、なんであの人に怒ったの?」と不思議に感じたのか夜月に尋ねた。
夜月は何も言わずただ何かを考えながら歩いている。
夜月の代わりに美咲が実樹の問かけに答えた。
【美】「なんだよあいつ。うちらと一切関わったことのないやつが勝手に口出しするんじゃねーよ。……ウザ。」と言い夜空を見上げた。
実樹は分かったように「あぁ〜」と言い手に持っていたイチゴミルクをまた飲み始めた。
すると突然、夜月が立ち止まった。先に前ヘ進んだふたりは驚きながら、後ろを振り向いた。
実樹は、心配になり夜月に駆け寄って行ったが夜月は全く動かない。
実樹が、「夜月!?」と呼びかけると夜月は夜空を見上げこう呟いた。
【夜】「大人なんて、嫌いだ……」と。ふたりは夜月が言った言葉の意味をまだ理解出来てないようで、間抜けな顔をしていた。その顔に不甲斐なくも笑ってしまった。
夜月が笑っている顔を見た美咲は、
「なんだ、笑える元気あるじゃん」と言った。
この言葉は美咲なりの励ましの言葉だった。何故なら美咲は素直になれない性格なのだ。その性格を知っている夜月はその言葉は美咲なりの精一杯だと分かっていた。
その言葉を聞いた瞬間笑みが溢れた。
【夜】「美咲ありがと…!」
【美】「なんだよ…急に!」そう言った美咲の顔は暗くてもわかるぐらいに赤くなっていた。
美咲が照れ屋なのも知っている。
照れてるときは口がニヤけるか、赤くなるかのどっちかだ。
ほんとに思う。この3人でいるときがどんなにいいか。3人でいると楽しいし、安心できてるし、何より心強い。この3人だからできたこともある。これからどんなに辛い壁があったってこの3人ならきっと越えられるよね。
そんな事を思いながら、3人は肩を並べて帰る。

帰る途中、イチゴミルクを飲み終わった実樹が話しかけてきた。
【実】「ねぇ、明日ってなんかあったっけ?」
あっ、そういえば、






明日は新入生の入学式だ……
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