Serious Finght ー本気の戦いー
#視点 夜月
夜。坂野流華はいつまで待っても来ない。そりゃそうか。初めてだし。まぁびびってるんだろうけど。
【実】「流華ちゃん遅いねぇ〜。どうしたんだろ?」と実樹は言った。
実樹以外のメンバーは流華が来ない理由を分かっている。しかし実樹は何も分かっていない。流石だ……
そんな事を思っていると、美咲が口を開いた。
【美】「ねぇ、もう先行かない?どーせ待ってても来ないだろ。」
私はそんな事したくない。あいつに痛い目見せてやらないと気が済まないのだから。きっと美咲だってそう思ってるはずだ。しかしケンカの欲が強すぎてそんな事は考えられなくなっている。
【夜】「あの子の家に行こう。」
【美】「は?分かんの?」
美咲以外のメンバーも驚いている。コレしか方法はない。
【夜】「分かるよ。お金持ちの坂野家なんて1つしかないじゃない。」
そう言い、私は坂野家がある方向へ歩いた。
皆も私の後に続いてきた。


【夜】「ここだ。」
私達の目の前には普通の住宅街にある家ではなく、豪邸が広がっていた。
でも警備は手薄だ。
【実】「すっごーい!!実樹こんな家初めてみたぁ!

【玲】「やべぇな……」
色んなところから、驚きの声が聞こえてくる。
私は構わず、家のチャイムを鳴らした。
少し待っていると、ガチャっと音がなり扉が開いた。
そこには呑気な顔をして出てくる坂野流華がいた。
坂野流華は私達に気づき、顔を青ざめている。あーぁやっぱり逃げたんだ。と確信した。
【夜】「あれ?坂野さん、行かないの?ずっと待ってたんだけど。」と彼女に煽りを入れる。
【流】「ウッ……えッ!今行こうとしてた所なの!わざわざ迎えに来てくれてありがとぉ!(汗」
【夜】「いえいえ」そう言い、彼女に笑みを向けた。
【美】「早く行こうぜ。」
私達は、何も無かったかのように無言で歩き出した。

廃工場に着くと不良たちが待っていた。
【不良】「よぉ、遅かったじゃねぇーか。」
そう言って私達の方を見る。
【美】「こいつが遅かったんだよ。」と言い流華の方を指差した。
流華は美咲を睨みつけている。
私を目立たせるなと言わんばかりの目つきだった。
1人の不良が流華の方を見るとニヤリと笑っている。
【不良】「おお?新入りか?」
【美】「こんなやつ、仲間じゃねぇ」
美咲は本当に流華の事嫌いなんだな。まぁ、皆そうだけどね。
【実】「ねぇ、そろそろ殺らない?」
と言い、持っていた空のイチゴミルクをその場に捨てた。
不良達も実樹の言葉に反応し「そうだな」とつぶやいた。
美咲はニヤリと笑い、「ケンカ、しようぜ?」と言う。
その言葉がケンカの合図だ。
敵もその言葉を知っている。
皆は、一斉に殴りかかった。
しかし、坂野流華だけはその場に突っ立って居るだけ。

こいつ何やってんの?動かないと、殺られるのに。
そう思いながらも敵の攻撃をかわす。
目を離している隙に流華が捕まっていた。
【流】「ちょっ!!離して!!その汚らわしい手で私に触れないでよ!!」
流華はジタバタと暴れている。あんたの力じゃ男の人の腕力に敵う筈ない。
それに私達も助けようと思わないから無視して目の前にいる敵をぶん殴る。
【不良】「お嬢ちゃん、もしかして坂野家のお嬢様かぁ?」
【流】「そうよ!!あんた達パパに言付けてやるから!!」
と涙目になりながら不良たちにそう言った。
しかし不良達はビビりもしない。それどころか笑っている。
【不良】「ははっ、お嬢様はパパ、パパって、おこちゃまでちゅねぇ!」
【流】「ちょっと!あんた達も私が捕まってんのよ!?助けなさいよ!!」
と偉そうな態度で私達に言った。
その言葉が気に喰わなかった私達は、「こっちでお前の事助けらんねぇー。」だとか「ごめん、無理だわ。」
と言い、一向に流華を助けようとしなかった。
すると豹変した渚が流華に向かってこう言った。
【渚】「黙れよ、ぶりっ子。」
その言葉を聞いた瞬間、流華は顔を青ざめ私達はニヤッと笑ってしまった。
ナイス渚。
私が言いたかった事を伝えてくれてありがとう。

すると不良達は流華に一発殴ろうとした。
私は流石に怪我されたらまずいと思い、流華が捕まっている方へ走った。流華に当たる拳を掴み蹴りを一発入れた。
【不良】「ウグッ……。」
【夜】「この子、初めてだから手加減してくれない?」
私はそう言い、周りにいる不良達に蹴りを入れダウンさせた。
【夜】「もう助けないよ。」と言いその場から立ち去ろうとすると、流華に睨まれ、「助けてくれるなら玲央君が良かった。」と言った。
はぁ?折角助けてやったのにその態度かよ。腹立つ。
私はその怒りを押し潰しながらまたケンカを再開した。

ケンカが終わると流華が「はぁぁ、疲れた。」と言い、地面に座り込んだ。
皆は、お前何もしてないだろという目つきで流華の方を見る。
【夜】「これで分かった?不良の本当の怖さを」
【流】「ぅん。怖かったぁ。誰も助けてくれないんだもーん。」
また出た。ぶりっ子。
まず、助けてくれるのが当たり前じゃないし。
根本的な問題だよ、お前は。
【美】「私達は、遊びでこんな事してるわけじゃないの。遊び半分で不良になる奴が1番邪魔。お前は要らない。ここに居ても邪魔なの。さっさと消えてくれる?」
美咲は流華を睨みつけた。
【流】「……。はーぁ、折角良い子演じてたのに。お前のせいでやる気失くした。」
あ、仮面外れた。ほんとの顔は悪女って感じかな。
【流】「私、不良辞めるね。イケメンくん達に優しくされてたらまだ居ようかと思ってたけど、誰も優しくしてくれないんだもん。イケメンって所詮こんなものかって思っちゃった(笑)……それじゃあね、パパが心配しちゃう。」
そう言うと流華はその場から立ち去った。
【美】「何なのあいつ。ウザすぎ。」
【夜】「お嬢様は所詮ファザコン。」
【実】「パパ大好きだね〜。」
【玲】「キモすぎて吐くかと思った。」
【聖】「お嬢様が不良なんて無理な話なんだよ。」
と次々、流華の愚痴を言う。
最初は味方だった実樹まで流華の事を言っていた。相当苛ついてたんだなと思う。
【渚】「僕、よく分からないけど、坂野さんにキレちゃったみたい……。」
渚は泣きそうになりながらそう言った。
泣くことないのに。渚は優しいな。
【玲】「渚、あれで良かったんだよ。」
【美】「むしろナイスな発言だった。」
とふたりが言うと、渚はニコッと笑い「なんか、ありがとう!」と言った。
【実】「ね、帰ろー!」
実樹がそう言うと、皆はあるき出した。


私達は、遊びで不良になってるわけじゃない。
みんなも分かって欲しい。





いつかきっとこの意味を知ることになる。




Fin
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