Serious Finght ー本気の戦いー
夜月は赤チームが居る空き教室へと向かった。
空き教室へ着くと扉の隙間から彼らを覗く。
【夜】(確か……島崎くんは……、あ、居た。……全然普通の子じゃん。……てか、空き教室使ってんだ。)
すると、誰かが近づいて来た。夜月は驚いて後退りすると扉が空いた。逃げる事の出来ない夜月は硬直状態。
しかしそこには顔馴染みの彼が居た。
【夜】「!?」
【翼】「!?」
【一】「ん?どーした?翼。」
椅子に座っている一真が話しかけてきた。夜月はジェスチャーで✖印を作り、あいつらにはバラさないで!という視線を翼に送る。
【翼】「いや、飲み物買いに行こうと思って。」
【一】「ふーん、じゃあ俺のもついでに買って来て。」
【翼】「了解」
と言い翼は教室を後にした。
翼は床に座り込んでる夜月の手を引っ張り、誰も居ない廊下で話し始めた。
【翼】「ゆづちゃん、なんであんな所で隠れてたの?用事あったんだったら入れば良かったのに。」
流石に、敵チームの観察って言えないよ。それに私翼以外の人知らないし。
【夜】「いや、たまたま通りかかっただけだよ。」
嘘だけど。
【翼】「そっか。」
翼は自分の足元に目を向けた。
【夜】「翼さ、なんか変わったよね。昔とは別人みたい。」
と彼の方を見てクシャっと笑う。
翼は少し顔を赤らめるながら、「不良になったからかな。」と言った。
確かにそうだけど……。違うんだよな。
【夜】「それもそうだけど、身長伸びたし男の人って感じする。私からどんどん離れてっちゃうなぁ、翼は。」
ほんとに、翼は毎回私から離れてしまう。
小学校の時だってそうだ。やっと一緒に居られる様になったのに、転校しちゃった。
今も近くに居るのに同じ世界に居るのに何故か遠く感じてしまう。
翼に近づきたくて無茶してたな、いつも。
【翼】「俺だって成長ぐらいするよ(笑)。でも、ゆづちゃんの方こそ変わったんじゃない?」
【夜】「え?そう…?」 
翼は私の頭を撫でながら、「大人っぽくなったよ。」と言った。
【夜】「!?……///はっ!?///」
【翼】「そんじゃ俺、飲み物買って来るね。じゃあね、ゆづちゃん!」
翼はそう言うとその場から立ち去った。


夜月は本部基地に戻ると、扉を開け勢いよくソファーへダイブした。
【玲】「!?……おい、夜月。新しい情報は?」
【夜】「あー!もう……。」
夜月は赤くなった顔を、ソファーに埋め込む。
【渚】「いつもの夜月ちゃんじゃ無いね。」
【実】「どーした?熱でもあるの?」
実樹はそう言うと、冷蔵庫に入っていた氷を夜月に渡した。
【夜】「ありがとう。」
夜月は仰向けになり、氷を頭の上にのせた。
翼に言われた事が忘れられなくて今も顔が熱い。こんな事初めて。
あいつのせいだよ……。
【聖】「もしかしてバレたのか?」
聖也が痛い所を突っついてきた。
【夜】「そーですよ。」
夜月は開き直り、聖也に冷たく言った。
みんな驚き過ぎ……。
でも全員にバレた訳じゃ無いし……。
【夜】「一人だけ、……前田翼にだけバレたの!」
すると美咲が思い出したかのように、「あーぁ、あいつね。」と言った。
そう、美咲と実樹は一度会った事がある。
【美】「あいつなら大丈夫じゃない?会った事あるし。」
美咲の言う通りかも。
翼って案外口固いから……。
【夜】「だよね。」
すると実樹のKYが発動した。
【実】「でもさ、なんでバレただけで顔赤くして帰ってくるの?」
皆は実樹の予想外の発言に戸惑っていた。
普通そんな所突っつかないでしょ。
しかし黙っていてもだんだん空気がおかしくなるだけだと夜月は思った。
【夜】「それは、色々とねぇ。」
話しを誤魔化す様に言って見たが、実樹には効かなかった。
【実】「告白でもされた?」
【夜】「///違う!!ッ……///渚、帰ろっ!!」
違うのに、またさっき言われた事思い出しちゃったじゃん!
【渚】「えっ!僕!?」
【夜】「渚にしか話せないの!!お願い!」
そう言いながら、渚を引きずり本部基地を後にした。

【聖】「告白……!?夜月が!?……くそッ、その前田翼って奴ぶっ殺してやるッ!!」
【美】「聖也、心の声だだ漏れ。」
そう言うと皆は聖也の方を見てニヤッと笑った。【聖】「!?」
くそッ、折角隠してたのに……。 
【美】「聖也クン、前から隠してるつもりだろうけど、普通にバレてますよ?」
聖也は目を点にした。
こいつ、以外と天然なんだなと3人は思った。
【聖】「マジ……?」
3人は同じタイミングで頷く。
聖也は「マジかぁ……」と言いながら、その場にしゃがみ込んだ。
【実】「大丈夫だよ、聖也!夜月ねあー見えて恋愛には疎いし鈍いから!」
実樹、それは聖也を慰めてるのだろうけど夜月を馬鹿にしてるようにも聞こえるぞ。
【聖】「そうならいいけど……。」
【美】「聖也って、こんな可愛い一面持ってたんだな(笑)」
【玲】「俺も思った。」
二人は聖也をからかった。
【聖】「可愛いって言うな!」
聖也は顔を赤らめながらまたその場にしゃがみ込んだ。



ー夜月と渚ー
とある公園のブランコにふたりは座る。
【渚】「どうしたの?夜月ちゃん。」
そう言うと夜月は渚の方を見た。
【夜】「翼に、……大人っぽくなったねって言われたんだ。」
夜月はまた顔を赤らめる。
【渚】「あー、だから赤いんだね!」
【夜】「あいつらに言ったら馬鹿にされるから……。」
夜月は、ブランコを漕ぎ始めた。錆びついてる音がする。それでも夜月は漕ぐ事をやめない。
【渚】「そっかぁ、……ねぇ夜月ちゃん。前田くんは夜月ちゃんの事どう思ってると思う?」
渚が単純な質問をしてきた。単純なんだけど、そう聞かれると何故か答えにくくなる。
【夜】「昔の友達……。」
【渚】「僕はねぇ、……前田くんにとって夜月ちゃんはきっと昔から思いを寄せている子なんじゃないかな?」
【夜】「///!?はっ!?」
夜月は驚いた。
渚の口からそんな言葉が出るなんて。
【渚】「冗談だよ!」
【夜】「ビビった……。」
良かった。冗談で……。
【渚】「でも、分かんないなぁ」
マジかよ……。絶対、普通にしてらんない!私恋愛無理なんだよなぁ。
そう思いながらブランコを漕ぐのを止め、下を向いた。
【渚】「夜月ちゃん、ジュース奢るから元気出して!」
そう言い渚はりんごジュースを手渡してきた。

あぁ、明日から憂鬱だなぁ。
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