Serious Finght ー本気の戦いー
ー赤チームー
空き教室には莉緒しかいない。莉緒は誰も居ない教室で昨日見つけた写真を眺めた。
すると突然教室の扉が開いた。莉緒は焦ってその写真を落してしまった。
【翼】「おはよー。」
入って来たのは翼だった。莉緒は急いで写真を拾う。
【翼】「隠さなくても良いのに(笑)」
【莉】「恥ずいんだよ……///」
莉緒がそう言うと、翼は莉緒に寄ってきた。
【翼】「俺も、思い出の写真ぐらいあるから!」
翼は自分のスマホを莉緒に見せる。
莉緒はスマホの画面をじっと見た。そこには見たことのある顔がふたつ並んでいる。ひとりは翼でもう一人の泣きじゃくってる女の子……。
【莉】「これ……、」
【翼】「ンフフ、これね俺が転校する時、クラスの皆がお別れ会してくれた時の写真。」
翼はニコニコしながらそう言った。
【莉】「隣で泣いてる子は?」
【翼】「この子、ゆづちゃんだよ。あの時、『翼の事ずっと待ってるから!』って泣きながら言ってくれたんだ。俺、その言葉が嬉しくて……可愛くて……。今でも忘れられない思い出なんだ。」
翼は何故か少し落ち込んでいた。嬉しい筈なのに……苦しそうだ。
【莉】「好きなんだ、星空の事。」
莉緒は躊躇いもなく翼に聞いた。
【翼】「どうだかね、」
翼は誤魔化した。すると廊下から騷しい声が聞こえてきた。
【翼】「この事は秘密ね。」
翼がそう言うと、丁度良いタイミングで皆が入ってきた。
【一】「なんだ、ふたりとも来てたのか。」
一真はそう言うと、カバンを机の上置き椅子に座る。
【琴】「莉緒!聞いて!!ビッグニュースだよ!!!」
事は莉緒の耳元で叫んだ。
【莉】「うっ……うるさ。で、何。」
【琴】「あのね、菅谷玲央に一時間後に産まれた妹が居るらしいの!!」
琴の言葉聞いた瞬間、ビクッと肩が上がった。
しかし琴は莉緒の事を気にせずペラペラと話し続けた。
【琴】「その妹は莉緒なんじゃないかって、うち思うんだよ!!」
琴は目をキラキラさせながら私の手を握る。きっと、琴の言っていることは間違っていないと思う。だけど、信じたくない自分がいる。
莉緒はそう思っていた。



ー青チームー
夜になっても6人は本部基地にいた。
いつもならここではなく別の場所でケンカしているが、今日は違う。
その理由は、
【玲】「あと一時間後か。」
玲央は本部基地にある時計を見た。
【聖】「ここで待ってろって、何様よ。」
聖也は机の上にあった果し状をクシャっと丸めゴミ箱に向かって投げた。
【美】「ウザすぎだろ。」
美咲は一瞬実樹の方を見た。
実樹はいつもと違い、どんよりとしている。そして取り柄でもある笑顔が失われていた。
【渚】「夜月ちゃん!これッ!」
渚は夜月の腕を引っ張り、パソコンの画面を見せた。
【夜】「ッ……ヤバい、外出よう。」
夜月の言葉に皆は従った。
何故なら、一時間後と言ったくせにもう来ていやがるからだ。
本部基地を出た瞬間、不良とばったり鉢合わせしてしまった。
【不良】「いたのか。」
不良は少し残念そうな顔をした。
【美】「は?どういう事?」
【不良】「予定より早く来てその本部基地とやらを荒そうかなぁと思ってよ。」
不良の軽い発言に腹黒組(夜月と渚)は眉間にしわを寄せる。
【夜】「は?そんな事したらマジでぶち殺す……。」
夜月から青い炎が出ていた。そしていつもより視線が鋭い。
【渚】「僕もそんな事されたら……、息の根止めてやるよ。」
渚も別人になり不良たちを睨みつけた。
ふたりはそれほどこの本部基地が大切なんだ。美咲はそう思った。
【美】「じゃあ、そろそろケンカ、しようぜ?」

ケンカをしている中実樹だけが突っ立っている。
【莉】『私が守るから!』
実樹は昔の事を思い出してしまった。その時視界の中に1つの拳が実樹を狙っていた。
実樹はその場から動く事が出来なくなり、当たるしかない。そう思いながら拳が来るのを待った。いつもなら動けてる筈なのに、莉緒の言葉を思い出すと……。


動く事が出来なくなった。


【玲】「実樹!!」
玲央の声が聞こえた。その瞬間私の目の前にいた不良が一瞬で吹っ飛んで行った。
【玲】「バカッ!何してんだ、お前!!」
【実】「ごめッ……。」
何故か実樹の目から涙が溢れた。
【玲】「怪我、してなくて良かった……。」
玲央はそう言い、実樹の涙を拭った。そして別の不良の相手をしに向こう側へ行ってしまった。
【実】「ッ……。」


ケンカが終わると玲央は地面に座り込んだ。
【夜】「玲央、大丈夫?」
夜月が本部基地から救急箱を取ってきた。そして玲央の正面に座り手当てを始める。
【玲】「ッ‼」
消毒液が傷口に滲みたらしいく、顔を歪ませている。
実樹は玲央の方に近づき、「ごめんなさい……。」と言った。
【玲】「良いって。」
玲央は痛みを我慢し笑って実樹の言葉に反応した。夜月は玲央が無理している事に分かっていながらも手当てを進めている。
【美】「ねぇ、実樹。」
美咲は冷たい声で実樹を呼んだ。
【実】「な、何?」
実樹は恐る恐る後ろを振り返った。
【美】「あのさぁ……、」
【夜】「美咲、駄目だよ。」
夜月は美咲が言っているのにも関わらず、口を挟んできた。
それは美咲に対しての忠告でもある。
【美】「ッ……!」
【実】「ごめん、実樹帰るね……。」
実樹はそう言うと、走って校門を出ていった。
【美】「くそッ……。言いたい事あるなら言えよ。あーゆうのマジムカつく……。」
美咲は学校の壁を蹴った。
【夜】「しょうがないよ、人間は言いたくても言えない事沢山あるんだから。実樹だってそう。無理に聞き出そうとしても実樹を傷つけるだけだよ。」
夜月は美咲のに寄り添った。
【美】「ありがとな、夜月。」
【夜】「良いよ、そんな事。」
すると、渚が実樹の幼馴染である玲央にある事を尋ねた。
【渚】「ねぇ、玲央は実樹ちゃんの事知らないの?」
【玲】「知らねぇ。あいつ最近無口すぎるし、無理に笑ってる感じするからあんま話してない。」
玲央はそう言いながら立ち上がった。
【玲】「痛え……。」
【夜】「無理すんな、馬鹿。」
夜月は玲央を支えた。
【夜】「でも、玲央が言ってる事分かる。転校生来てから実樹、怯えてるよね。」
【渚】「どうしたんだろう、実樹ちゃん。」
渚は空を見上げた。今日もいつものように星が輝いている。
【玲】「今はそっとしといてやろ。」
玲央はそう言った。
美咲が「そろそろ帰ろう。」と言ったので解散する事にした。
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