Serious Finght ー本気の戦いー
第一章 〜「不良」の生き様〜
午前8時。青火(セイカ)高校の校門には沢山の人でいっぱいだった。今日は青火高校の入学式だ。
屋上から新入生や保護者を見ているのは、この高校の女不良の3人だ。
新入生に似合う言葉はなんだろうか。例えを上げるとするなら、新しい桜の花びらたちとか。
それじゃあ、この不良達は?
まぁ優しく言うなら、人間の血飛沫かな。くだらない事を考えていると、実樹が突然喋り出した。
【実】「おー、結構入学して来たねぇ。」
実樹は屋上のフェンスから身を乗り出して、新入生達を見た。
すると、実樹の背後にいた美咲が立ち上がり、ガムを食べながら、
【美】「ここ、不良校で有名なのにな。」
その言葉の意味を自分達のせいだと知らない美咲は淡々とした口調で言った。
夜月は美咲の言った言葉に対して、心の中で突っ込んでいたがその場では言えなかったようで、少し苦笑いをした。
すると実樹は疑問に思ったのか、美咲に尋ねてきた。
【実】「なんで不良高って知ってんのに来るの?」
その言葉を聞いた美咲はなんでだろうと自分も疑問に思い悩んでいた。
美咲が悩んでいる姿を見た夜月は、美咲の代わりに答えを出し、実樹に教えた。
【夜】「この高校は学力的に言えば上の方なんだよ。それに部活とかの推薦で来る人も結構いるからね」
夜月は、この高校のことに詳しいのだ。その理由は、彼女の兄的存在の人がここの教師であり、不良達のお世話係でもある、二階堂友(ニカイドウトモ)から耳にタコができるほど、この高校の事を聞かされたからである。
夜月の言葉を聞いてふたりは納得した。
屋上から新入生達をもう一度見るとだんだん少なくなっており、もう少しで入学式が始まるんだなとわかるほど静かだった。
実樹は、イチゴミルクが無いことに気づき慌ててふたりに話しかけた。
【実】「ねぇ!イチゴミルクがないよぉ!」
イチゴミルクが無いだけでとても泣きそうな目をしていた実樹に美咲は少し笑ってしまった。
夜月は、
【夜】「確か本部基地にあると思うよ」とだけ告げ、立ち上がった。
それを聞いた実樹は、「急いで本部基地に行こ‼」と言いダッシュで屋上のドアを開け、本部基地へと向かって行った。
少しだけ説明しとくと、本部基地とは…不良達の溜り場だ。ここで不良達は遊んだり、ケンカをしたりしている。
実樹の後を追ったふたりは、本部基地の前で止まっている実樹に声をかけた。
【夜】「実樹?何してんの?」
夜月の声に我に返った実樹は、「嫌な予感がする」とだけ告げ、戸を開けた。
そこには私達の仲間である男不良達がいた。
まず、実樹のイチゴミルクを優雅に飲んでいたのは、実樹の幼馴染である男不良の番長、菅谷玲央(スガヤレオ)。
続いて、ソファーに座りながらスマホをいじっているのは、夜月の幼馴染で副番長の鉄聖也(クロガネセイヤ)。
最後に、パソコンとにらめっこをしているのは、ケンカになると二重人格になってしまう同じく副番長の柊渚(ヒイラギナギサ)。
この3人が私の仲間だ。
実樹は自分のであるイチゴミルクを幼馴染の玲央が飲んでいたのを見て、
【実】「あー!!実樹のイチゴミルク!!……返せーー!!!」と言い玲央を追いかけた。
玲央は実樹から逃げるためソファーから立ち狭い部屋でドタバタと走り回った。
そのことを気にせず美咲は空いたソファーにダイブし、夜月は渚のもとへと向かった。
渚は夜月に「久しぶりだね」と言い、笑顔を向けた。その笑顔がとてもかわいいかったのか夜月は渚の頭を撫でた。
それをみた聖也は、「渚はまだ子供だな」と鼻で笑い、羨ましいという感情を隠した。
すると、夜月が「渚の笑顔がかわいいかっただけだよ。まぁ聖也はかわいくないからなぁ」とふざけて言った。その言葉に少しショックを受けた聖也であった。
突然、扉が空き皆は少し固まった。扉の後ろからノソッと出てきたのは、私達のお世話係である二階堂先生だ。
夜月が「友ちゃんか……」と呟いた。
二階堂先生がここに来た理由は一つ。
【友】「おい、始業式始まるぞ」
不良達は全校生徒が集まる行事はどうも苦手で行きたくはなかった。が、二階堂先生が一応自分の担任も知っとけと言うのでしょうがなく行くことにした。
すると実樹が、 
【実】「待って、実樹自分のクラス知らないよ?」
と言い、それに続いて他の皆も知らないと言い始めた。
二階堂先生は呆れた様子で自分のファイルに手を突っ込み、名簿が載ってあるプリントを見始めた。
【友】「えーっと、2-Aが森崎と柊で2-Cが星空と鉄、2-Eが花蝶と菅谷だ」わかったか?と聞き、皆の反応を伺った。
【夜】「また、聖也と一緒!?」と珍しく声を挙げてる夜月を横目で見ながら、内心嬉しそうな聖也を見て笑ってしまった。聖也は、「なんで離れられないんだよ」と言っているが口元がニヤけていた。
二階堂先生が「まぁいいだろ。」と緩和に入るとふたりは、「まぁね/な」と言った。
一方、美咲と渚は「よろしく」と言い揉め合いにもならずに済んだ。←さすが
しかし、その隣ではクラスの事よりもイチゴミルクについての口喧嘩が勃発している。
【実】「実樹のイチゴミルクだったのに!!」
【玲】「お前が名前書かなかったのが悪いだろ」
【実】「違うもん!名前書いてなくても実樹のイチゴミルクだってわかるじゃん!」
【玲】「わかんないね!」
ずっとこの調子だ。夜月は、2人の仲を戻すために、2人の間に入った。
【夜】「もういいでしょ。実樹は、名前書いてなかったのが悪くて、玲央は勝手に飲んだのが悪い。なら、玲央は実樹に新しいイチゴミルク買ってあげて、実樹はこれから、気をつければいいでしょ?はい、この話しは終わり」
そう言うと夜月は実樹の手を引っ張り行くよと声をかけ講堂へと向かった。

講堂に着くと校長の長い話しが待っていた。そこには、校長の話しを真剣に聞く人や、ウトウトしてる人、完全に寝にいってるひと、沢山の人がいた。
ようやく校長の話しが終わった。次は担任紹介だ。
生徒が「次は担任紹介です」と言うと、校長の後ろからぞろぞろと教師が出てきた。その中に昨日出会った、黒瀬斗真もいたのだ。彼を見た瞬間夜月と美咲は顔を見合わせ、「ヤバい」と口パクで言い合った。
夜月の横にいた二階堂先生が、
「黒髪で若いあの先生見えるか?あの先生もお前達のお世話係になる人だ。」といいニヤリと笑った。
夜月はなんで笑ったのと疑問に感じたが言わないで置いた。
美咲は壁につけてた背中を外し、外へ出ようとした。それに続いて夜月と実樹も美咲の後ろを追った。
講堂の扉はとても重く、開ける為にはものすごい音がする。美咲はそのことを全く気にせず開けるものだから、周りの視線が痛かった。しかし3人は何も気にせず本部基地へと戻って行った。
本部基地へ戻ると、本部基地の壁に手紙の様なものが張り付いていた。夜月はそれに気づき中の内容を見てみた。
「果し状
今日の深夜、〇〇廃工場で待つ。森崎美咲ひとりで来ること。」とのことだった。それをみた3人は顔を見合わせ、昨日のチンピラの上の奴だと理解した。
条件に従うか、3人でケンカを買いに行くか、迷ったが美咲がひとりで行くと言ったため、ひとりで行かせることにした。ただし私達も物陰で見守っているという条件で美咲の後を追うことにした。
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