Serious Finght ー本気の戦いー
#視点 夜月
いつもとは少し早い時間に目が覚めてしまった。
家にいても誰も居ないし、何もする事もないから学校に行こう。
そう思い、少し乱れてる制服着、何も入ってないカバンとスマホを持って家を出た。

学校へ着くと私はすぐ屋上へ行った。
誰も居ない屋上を見渡し、フェンスへともたれかかる。
目を瞑り昨日の事を思い出した。あんなんでふらふらしていた自分が少しだけ情けなく思えた。
きっと聖也が助けてくれなかったから、私道で寝てたのかなぁなんて考えてるうちに、美咲と実樹の姿が見えたので、私は急いで下に降りた。
廊下を歩いていると、見たことのある人がこちらに向かってくる。
あいつ……もしかして……!
【斗】「あっ、君このあいだの……。もしかして、星空さん?星空夜月さんだよね?」と尋ねてきた。
その顔と声そうだ。私達に突っかかってきたやつだと確信した。
【夜】「そうだけど……」とぶっきらぼうに言い、その場から立ち去ろうとしたが、彼の声で止められてしまった。
【斗】「待って!!……俺、黒瀬斗真って言います!君のクラスの副担任で……それから……」彼の言い方に腹を立てた私はいつもは出さない大きい声で、
【夜】「うるさい!!そんなの…私には関係ないッ……もう突っかかってこないで。……私が壊れてしまうから……」と言い早足でその場から立ち去った。
立ち去る瞬間一度だけ彼の目を見たが、悲しい目をして俯いていた。
美咲と実樹は壁越しで私達の会話を聞いていたらしく、私の後ろを追った。
本部基地へ着くと私はソファーへダイブし、聖也の名前を読んだ。
【夜】「聖也……なんで、傍にいてくれないの……?」
聖也はいつもそうだった。私が泣いていると必ず隣にいてくれる。励ましたりしないけど、隣にいてくれるだけで安心できる。
なのに今は居ない。誰も私の過去を知らない。教えたくもない。思い出したくないのだ。だから2人にも教えてない。仲間だけどね。でも本当の仲間じゃないのかな?過去や愚痴全部隠さず言わないと、仲間じゃないのかな?
考えるだけで苦しい。2人には申し訳ないけど私は本当の仲間じゃないよ……ごめん。本当にごめん。
でも2人は、分かっていてくれる。何も突っかかってこないでいてくれる。それはきっと私の事を分かってくれているんだ。と思った。
ほんと、いい友達をもったな。

#視点変更  斗真
あぁ、俺は生徒を傷つけてしまった。あんな泣きそうな顔で、あんな事を言われてしまったら何もできないよ。彼女の過去なんて分からない。でも、苦しかった事ぐらい俺にだってわかる。
それなのに俺は彼女を泣かせてしまった。過去を思い出させてしまった。ほんと最低だ。情けなさすぎるよ。こんなやつ先生失格だよな。
彼女は不良でもあり、辛い過去も抱えてる。いつ爆発してもおかしくないと思う。だからケンカに逃げて、過去を忘れようとしてるんだ。

大丈夫、きっと俺が彼女を救ってみせるよ。

#視点変更 美咲
珍しく声をあげている夜月を見た。
苛ついていたのか分からないが、あいつよりもっと苛つく奴がいても夜月は黙っていた……何故だ?
そう思いながら私達は夜月の後を追った。
本部基地ヘ着くと夜月はソファーにダイブし、少し泣いている。
それほどあいつが嫌だったんだな。
すると実樹が口を開いた。
【実】「あの人、結構私達に突っかかって来るよねぇ。心配してくれてんのかな?やさしー」と言いながらイチゴミルクを飲み始めた。
すると夜月が「私は優しくされたくない。……どうせ私達を裏切るんだ」と言いまたソファーに顔を埋めた。
何があったかは聞かないことにしている。
なんでかって?そんなの、傷つけたくないからだよ。
仲間より大切なものはないだろ。

お昼。私達は珍しく屋上で食べる事にした。
私はコンビニで買ったパン。美咲はお母さんが作ってくれたお弁当。夜月は自分で作ったお弁当を食べている。
すると突然、カッターナイフが刺さっている紙が飛んできた。カッターナイフは私達に当たらず、屋上の床に突き刺さっていた。
【美】「あっぶな……」
【実】「死ぬかと思ったぁ!」
そんな事を言っていると夜月がカッターナイフを拾い上げ、刺さっていた紙を読み始めた。
【夜】「今日の夜、〇〇廃工場で待つ。お前らの仲間にもこれを送った。だって」そう言うと夜月はスマホを取り出し、紙に書いてあった内容を写真に納めた。その後、グシャグシャに丸め屋上から落とした。
【実】「この事、玲央達にも知らされてるんだぁ。じゃあ珍しく6人で殺リに行くんだね!」
そう言うと、実樹は嬉しそうに笑った。
夜月は何故かしかめっ面をしている。私はその表情を見て声をかけた。
【美】「おーい。お嬢さーん、顔を怖いぞー」
夜月はこちらを向き「いつもだし」と言ってスマホに目を向けた。
彼女は渚と連絡をとっているらしい。きっと、さっきの状況を伝えてくれているんだ。
私達は昼ご飯を食べ終わり、本部基地ヘ戻った。

夜。私達は玲央達と合流し、廃工場の前で立ち止まった。
【玲】「この6人でケンカするなんて、久しぶりだな」
【美】「あぁ」
本当に、久しぶりだ。私達は男女分かれてケンカすることが多いから……
少しだけ胸が踊る。
【玲】「思う存分、暴れるぞ!」玲央がそう言うと、私達は「おうッ!!」と気合いを入れ、廃工場の扉を蹴っ飛ばした。

そこにいたのは……大人達だ。
大人達はこちらを見てニヤリと笑っている。
気味が悪い。
ひとりの大人が、口を開いた。
「おいおい、こいつらが最近調子に乗ってるガキかよ(笑)弱そうだなぁ」
私達を挑発してきた。まぁ、勝手に言ってろって話だけど。別に私達は、煽られようとも何も同時ないからね。
【玲】「お前らかよ。俺達にケンカ売ってきたの。」と低い声で、大人達を威嚇する。
大人達は、「そうだけど?お前らが調子乗ってるって聞いてなぁ。殺そうと思って。」と言い、私達を囲った。
「ケンカ、しようぜ?」
この言葉がケンカの合図だ。私が言うと皆はケンカ体制になる。相手も、こちらに手を出してくるのだ。
私ってすごいわ。と自画自賛している間に一匹目の獲物が私に飛びついてきた。私はすかさず、敵の行動を読み交わした。周りにはもう味方は居ない。皆は離れて戦っている。
私は、周りにいる奴を見渡し、手を鳴らした。
「さぁーて、覚悟しろよ?」 

#視点変更 実樹
おー、たくさんいるなぁー。
そんな事を思っていると、大人達が、「おいおい、ガキなんだから調子乗るの辞めたら?君、女の子なんだからさぁ、怪我したら大変でしょ?お兄さん達も手出したくないからさぁ」と言いながら私に近づいてきた。
きっしょ。近づいて来んなよと思いながら、自分の能力を活かして、大人達から逃れた。
「ごめーん。調子乗るの止められそうにない(笑)」
私は走って、マ○オ見たいな壁キックをし、大人達に蹴りを入れた。そしてその場に落ちていた鉄パイプを思っきりぶん投げ、大人達を気絶させた。
「子どもを甘く見るなー!」と言い、大人を踏んづけ勝利を勝ち誇る実樹なのであった。

#視点変更 玲央&聖也
俺達の周りには結構な数の大人達がいる。
どうしようか、と考えてる隙に俺(玲央)を殴ろうとしている大人がいた。俺はとっさに避ける事が出来なく、殴られるしかないと思っていたが、聖也が、止めてくれた。
「あっぶね。考え事すんじゃねぇよ」
と言いながら、殴ってきた大人を投げ飛ばした。
「悪い悪い。さーて、殺るか」
「おお」
そう言うと、ふたりは大人達に殴りがかった。

#視点変更 夜月
あぁ、私の大ッ嫌いな大人だ。
話したくもないし、関わりたくもない。ほんとに嫌いだ。でも、こいつらの方がまだましだな。そんな事を思いながら、突っ立っていると、一人の大人が口を開いた。
「お嬢ちゃん、殺されたい?殺されたくなかったら、俺達の言う事聞こっか」と笑顔で言ってきた。
前言撤回。やっぱりこいつらも私の嫌いな部類の奴だ。
「無理」と言うと私は彼らに飛びかかった。しかしいつもよりとても動きが鈍い。きっと、大人相手だからだろう。怖いんだ。怯んでるんだ。
どうやったらこいつらに勝てる?今の私じゃ、無理だよ。でも、勝たないと……色んな事を考えていると、大人たちから逃げられなくなっていた。
まだ身動きが取れる分運が良かった。でも出られる方法を考えろ。きっとここから抜け出せる方法があるはずだ。考えろ、考えろ。
後ろから、何やら話し声が聞こえる。
「こいつ、思ったより弱いっすね」
「ほんとだな。早くやろうぜ」
その言葉にイラッとした。弱い?……弱いかもね。でも……後ろから誰かに殴られた大人が倒れてきた。その隙に囲いから出られた。
【渚】「女の子だよ?もっと優しく扱えよ。」
そこにいたのはもう一人の渚だ。いつもの優しい渚はケンカする時には居ない。
「渚ナイス」と言うと渚は少し微笑んだ。
「あとは、私に殺らせて?こいつらに恨みが、できた。」
「頑張って、夜月ちゃん」渚の言葉に背中を押された私はもうあとには引けない。
よし、行こう。
そう思うと、勝手に体が動いた。いつも以上の動きだ。やっぱり仲間って凄いな。
私は次々に大人を殴った。
全員が倒れている。あぁ、殺ったんだな。と思いながらも大人たちに向かって、「私は弱いかもしれない。でも……お前らよりは強いから。」

#視点変更 実樹
私は最後のボスらしき人と一対一の戦いになった。周りには、もう大人の姿がない。前にいる1人だけだ。
「あんたで最後だよ」と言うと、彼はナイフを私の方に向けた。でもナイフを持つ手は震えている。こいつ、もう無理だ。そう思いながら私は彼へ近づいた。
「私を殺してみな?」と言いながら胸を広げた。きっと無理だろう。こんな根性無しにこんなことが出来るとは思わない。だから私も怖くない。
彼は声をあげ、ナイフを私に向け走ってきた。
私はその手を掴み、彼を気絶させる前にこう言った。
「子ども相手にナイフ向けるなんて大人気ないよ?私達を甘く見過ぎ。調子に乗ってんのはあんた達のほうだろ?」そう言い終わると私は勢い良く彼を投げ飛ばした。

ケンカが終わると夜月はスマホを取り出し、警察に事情を話した。
【実】「にしても、弱かったねー」
と言いながら、木の枝で大人たちにを突っついている実樹横目で見ながら、「そうだな」と呟いた。
警察の話が終わったらしく、夜月がこちらへ向かってきた。
【夜】「私達帰っていいって。」
【玲】「そっか、じゃあ帰ろう。疲れたしな」
と玲央が言うと皆は並んで歩きだした。やっぱりこの6人が最強だ。と思う。

#視点変更 斗真
夜。職員室に俺と二階堂先生が残っている。
俺は星空さんの事を聞こうと思い、二階堂先生に近づいた。
【斗】「二階堂先生、……星空さんの事について、お話が……」そう言うと、二階堂先生は俺の方を向いて、真面目な表情で話し始めた。
【友】「星空に何か言われたんですね?」
【斗】「はい。……壊れてしまうと言われました。」
【友】「分かりました。……黒瀬先生にも星空がどんな気持ちで先生達と関わっているか、話しますね」




Fin
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