二人のないしょ話
「あのさ……図書室に泣きながら来たのって、友達にそう言われたから?」

小泉さんはゆっくり頷く。

「あの時、神山くんは私のことをほっといてくれた。それが、すごく嬉しかったの。話すのが、辛かったから……」

小泉さんの目から、また涙がこぼれた。

俺は話を聞いて、小泉さんの涙を見て、胸が苦しくなった。と同時に、自分の無力さに腹が立つ。

「自分勝手で、ほんとにごめんなさい。私、ほんとは手話がしたい。……でも、みんなからチヤホヤされたいだけでしょとか、ひどいことを言われて、辛くなって」

涙を堪えていたようだったが、最後の方では小泉さんはまた泣き出していた。

俺は小泉さんを抱きしめる。

「かっ神山くん!?」

俺は抱きしめながら、ゆっくり言う。

「小泉さんがしたいって思ったなら、我慢する必要はないんじゃない?小泉さんのしたいようにすればいいんだよ。それに……」
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