二人のないしょ話
言いかけてやめた。俺たちには、「秘密の言葉」があるじゃないか。

俺は小泉さんを離し、手話で話した。

「もし、小泉さんがだめじゃなかったら、俺は小泉さんを守りたい。小泉さんと一緒にいたい」

俺は自分を指差し、次に小泉さんを指差した。そして、顔を真っ赤にしながら、下向きにした左手の甲を、右手の手のひらで撫でるように回す。

「俺は君が……好きだ!!」

小泉さんの瞳がまた潤んで、綺麗な涙があふれた。悲しい涙じゃないことは、すぐにわかった。小泉さんは心からの笑顔を見せてくれたから。初めて見た笑顔は、眩しいくらいに綺麗だった。

小泉さんも自分を指差し、右手の親指と人差し指を伸ばして喉にあて、指を閉じて下げる。

「好きって、こうするんだよ。神山くんのは……「愛してる」って意味だよ」

俺は体が一気に熱くなった。

「あっ、ああ〜!!間違えた〜!!」
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