二人のないしょ話
俺と小泉さんが初めて話した日が頭に浮かんだ。



高校に入学してから一週間が経った頃。

小泉さんはいつも本を読んでいた。

綺麗な女の子だからか、男子も女子も話しかけるクラスメートは多かった。でも、小泉さんは「だから何?」という感じで誰にでも冷たかった。

「小泉さんって、冷たいよね〜」

そんなことを他のクラスにまで、クラスの女子が言ったので、小泉さんは誰にも話しかけられなくなった。

そんなある日、俺は図書室に放課後向かった。

図書室には誰もいなかった。

俺はかばんから読みかけの本を出し、ページをゆっくりめくる。

しばらくすると、ガラリとドアが開き、俺は反射的に顔を上げた。

「えっ……」

そこには、泣いている小泉さんがいた。

「大丈夫?」
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