ずっとキミしか見えてない
 先生がプリントを一枚私に手渡してきた。

 生物の補習が始まってから五日目、私は良悟くんと一緒に放課後毎日問題のプリントに取り組んでいた。

 光雅くんは、用事のない日はだいたい私に付き合って問題の解説をしてくれた。

 良悟くんにも「仕方ないから、良悟にも紗良のついでに教えてやる」と言って手伝っていた。

 良悟くんは「やったー! 光雅様ありがとう!」と喜んでいた。

 補習の一日目に、ふたりの間になんだか不穏な空気というか、火花を散らすような会話をしていた気がしたが、男の子同士はあまり細かいことは引きずらないようで。

 その後もふたりは仲良くやっているように見えた。


「よっしゃー! 今日でこの苦行ともおさらばだ!」


 私と同じように、先生からプリントをもらった良悟くんが、嬉しそうに叫ぶ。先生は「次は赤点取るなよ~」と茶化すように言うと、教室から出て行った。

 今日で終わりかあ。大変だったけど、確かにテスト範囲の復習にはなったな。

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