ずっとキミしか見えてない
 本当に、次のテストはこんなことにならないように、勉強頑張っておかないと。

 だけど今日のプリント、最後なだけあって難しそうだなあ……。

 と、私が本日の補習用プリントを眺めて、小さく嘆息をしていると。

「紗良。俺今日も放課後何も無いから。付き合おうか?」


 隣の席から、光雅くんが何気ない口調で言った。

 勉強を教えてくれるという、私にとってはすごいことをしてくれているというのに、全然上からな感じがしない言いぶりが、やっぱり彼らしいなと思う。

 光雅くんが教えてくれるなら、この難しそうな問題もそんなに時間がかからないだろう。

 それに何より、彼と放課後一緒に過ごせると思うと、それだけで嬉しくてたまらなくなってしまう。


「本当⁉ じゃあ……」


 ――ぜひ、お願いします。

 そう言いかけた私だったが、はっとして口を閉じる。

 視界の隅に、高崎さんと中村さんの姿が映った。

 彼女たちふたりは、「キャハハ」と高い声を上げ、楽しそうに話していた。

 別に私の方は見ていない。
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