ずっとキミしか見えてない
 さすが入試ナンバーワン、真面目な男の子なんだろうな。

 つい、マジマジと彼の顔を見てしまった。

 至近距離で見て、ますます八年前の男の子に間違いないと私は確信する。

 成長はしているけれど、あの時の面影はバッチリ残っている。

 特にこの、吸い込まれるようにきれいな瞳は、彼以外に見たことが無い。

 やっぱり絶対に間違いない。

 流れ星が舞う空の下で、「また一緒に星を見よう」って約束した、あの時の男の子だ。


「ねえ、俺の顔になんかついてる?」


 不意に彼が私の方を見て、苦笑を浮かべてそう言った。

 無意識のうちに無遠慮に彼を眺めてしまっていた私は、我に返って恥ずかしくなり、思わず目を逸らした。


「ご、ごめん。さっきのお礼言ってなかったなあって思って……。野球のボールから守ってくれてありがとうね」


 なんて、咄嗟に出てきた言い訳をそれっぽく言う私。

 すると彼は、首を横に軽く振って、小さく笑ってこう答えてくれた。


「ああ、いいよ別に。怪我がなくてよかったね」


 昔会った時よりも、クールな感じになったように見えたけれど、微笑んで優しく接してくれることに私は安堵した。

 そしてその大きな瞳がとてもキラキラしていて、勝手につけた「星の王子様」という愛称が妙に合っているように思えた。
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