ずっとキミしか見えてない
「えー。光雅なら別に変には思わないと思うけどなあ」


 良悟くんの言う通り、光雅くんはそんなことで人に引いたりするような人ではないとは思う。

 だけど、そこに恋愛が絡むとまた話は別だ。

 一度しか会っていない相手を、人生の半分もの長い時間思い続けている女の子なんて、重いなあとは思うかもしれない。


「――いいんだよ。私が言って思い出してもらっても、あまり意味はない気がするし」
 
 
 苦笑を浮かべて良悟くんに言う。

 そうなのだ。

 あの時の約束を、私は大切にしていた。

 だけど光雅くんはそうじゃなかった。

 だから、私の言葉であの約束を彼が思い起こしたところで、何かが違う気がするんた。


「ふーん。まあ、その辺は俺にはよく分からないけど、紗良ちゃんが光雅をすごく好きっつーことはとりあえず分かったよ」

「そ、そう?」


 まあ、すごく好きなことはたしかに間違いないけど。

 第三者からそう言われてしまうと、とても恥ずかしかった。


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