ずっとキミしか見えてない
「だけどさ、やっぱり好きなら避けなくていいんじゃね?って俺は思うんだけど。光雅の重荷になりたくないって言ってたけど、紗良ちゃんはそれでいいの? 八年間も好きだった相手に、ようやく会えたっつーのに」

「よくないよ……。でも、好きだから困らせたくないんだよ。私が迷惑をかけちゃうんなら、光雅くんから離れるしかないじゃない」


 私はうつむき加減になって言う。

 自分で言いながら、辛い気持ちになってしまった。

 この恋を封印するしか道がないことを、改めて実感する。


「そんなに光雅のこと好きなんかー! いやー、ショックだわー。俺紗良ちゃんのこと好きなのに」


 一瞬、良悟くんが何を言っているのかわからなかった。

 あまりにも突然で。あまりにもあっさりとした口調で言うから。

 ーーえ?

 良悟くん、私の事、好きって?


「じょ、冗談でしょ?」

「さすがに俺でも冗談でこんなこと言わないよ」


 ヘラっとした笑みこそ相変わらず浮かべていたけれど、口調には真剣さを感じられた。
< 143 / 228 >

この作品をシェア

pagetop