ずっとキミしか見えてない

　本当にジョークではないのかもしれない。

　まだ半信半疑だけど。


「なんで……？」


　良悟くんとは席が近くて結構仲良くはなったけれど、私を好きになるようなきっかけなんてあったかな？

　人を好きになるのに理由なんて無いとは思うけど、私が良悟くんから好れる要素なんて、あまりにも思い当たらなかった。


「うーん。それは秘密ですね」


　ウィンクしながら、冗談交じりに良悟くんが言う。

　本当によくわからない人だ。やっぱりただからかわれているだけなのかもしれないと思えてきた。


「いきなり過ぎて、そんなこと言われてもよくわからないなあ。でもさ、さっきも言ったけど私が好きなのは光雅くんで……」

「でも離れようとしてるじゃん。あいつを好きな気持ちを消したいんでしょ？」


　私が言い終わる前に、良悟くんが早口で言葉を被せてきた。

　彼の言うことはもっともだ。

　私は光雅くんから離れようとしている。

　好きな気持ちをどうにかしてなくさないといけないんだ。