ずっとキミしか見えてない
 芽衣には私の気持ちを正直に話してもいい気もしたが、絶対に「紗良が光雅くんと釣り合わないわけないよ!」と、全力で否定してくる。

 彼女は本心でそう思ってくれるから、その優しさが辛くなってしまうんだ。


「えーそうなの! 憧れねえ……。確かにその気持ちは分かるよ。でも光雅くんと紗良、絶対うまくいくと思ったんだけどなあ」

「あはは、そんなことないよ」

「そうかなあ。あ、でもそれならさあ、もう良悟くんにしちゃえばいいんじゃない? かっこいいし、優しいし、一緒にいて楽しいじゃん」


 嬉々とした表情で芽衣が言った。

 私は苦笑を浮かべる。


「うーん……。確かに友達としては好きだし楽しいけどさあ。良悟くんのことを今はそういう風には思えないな」


 芽衣は私と違って恋愛に対して積極的なところがあり、「それまでなんとも思ってなくても、告白されて付き合ってから好きになるっていうのもアリだよね」と前に言っていた。

 確かに、それもひとつの恋愛の仕方だと思うし、悪いとは全く思わない。

< 150 / 228 >

この作品をシェア

pagetop