ずっとキミしか見えてない
 だって話題になったキーホルダーは、八年前に光雅くんにもらったものだったから。

 ――これ、あなたが私にくれたんだよ。

 流れ星を見つけることができなくて泣いていた私を、慰めるために。

 私はずっと大切に持っていたのだけど。

 そして、私も自分が持っていた同じお菓子のおまけの、違うポーズの黒猫のキーホルダーを、あなたに渡したのだけど。

 あなたはそのことを覚えていないのかな?


「懐かしいね。みんな持ってたよなあ、これ」


 何気ない光雅くんの口調に、私はがっかりしてしまった。

 彼の言葉の中に、そのキーホルダーに対する特別な感情は全く感じられなくて。

 やっぱり、あの時のことを大切な思い出として覚えているのは、私の方だけなのかな。

 もし今、八年前のことを説明したら、光雅くんは思い出してくれるかもしれない。

 「あー! あの時の!」って言ってくれるかもしれない。

 だけど、もし彼が流星群の夜のことを忘れていたとしたら、ずっと覚えていた私のことなんて、やっぱり気持ち悪いと思ってしまうような気もする。

 たった一度会っただけの人を、八年間もずっと好きだなんて言ったら、引いてしまうんじゃないだろうか。

 客観的に考えても、何年も前に少し会っただけの人に恋をし続けているなんて、ちょっとおかしいと思える。
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