ずっとキミしか見えてない
 あまり隣を見ないようにしているから、いつ帰ったのか気づかなかった。

 席替え、してほしいなあ。

 もう入学してから2ヶ月くらい経つんだから、そろそろいいんじゃない?

 なんて、思っていたら。


「紗良ー!」

「うわっ!?」


 背後から芽衣の元気そうな声が聞こえてきたと共に、背中をバシッと叩かれたので、私は驚きの声を上げてしまう。


「め、芽衣?」


 振り返ると、芽衣がニコニコしながら立っていた。

 なぜか彼女の傍らには、同じような表情をした良悟くんもいる。


「ふたり揃ってどうしたの……?」

「一緒に遊びに行こ!」

「えっ?」


  唐突なお誘いに首を傾げる私。


「近くにおいしそうなケーキがあるかわいいカフェがオープンしたんだよん。紗良、知ってる?」

「え、知らなかった」

 
 最近は光雅くんのことばかり考えていて、あまり他のことに気が回っていなかった。

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