ずっとキミしか見えてない
「こ、こんな古いの持ってて変だよね、私」


 苦笑を浮かべて言った。

 自分の中の気持ちを誤魔化して、八年前の思い出に分厚い蓋をして。

 すると光雅くんは、意外にも首を横に振った。

 そして優しく微笑んで、こう言った。


「え、全然変じゃないし。それ結構かわいいじゃん今見ても。ずっと前の物なのに、まだきれいだし物持ちいいんだなーって感心してた。もしかして大切な物なのかなって」

「え……」


 ――そうだよ、とても大切な物だよ。

 あなたに会えた証だから。

 あなたと私を繋ぐ、唯一の物だから。

 一瞬、言ってしまおうかと思った。

 幼かった光雅くんにもらったものだって。

 もうすぐまたあの流星群が見られるねって。

 また一緒に見られるのかなって。

 そう思って、口を開きかけた時だった。


「あのさ。結城さんって彼氏いるの」


 突然真剣な面持ちになったかと思ったら、光雅くんが何気ない口調で私にそう尋ねた。

 あまりにも平然と言ってくるから、なんのことを言われているのかすぐに理解できなかった。

 ん?

 今なんて言ったの?

 彼氏……?

 結城さんって彼氏いるの、ってそう言ったんだよ、ね?
< 17 / 228 >

この作品をシェア

pagetop