ずっとキミしか見えてない
 順番待ちをしている列の最後尾に、私たち三人は並んだ。


「すごく混んでるね」


 店内の様子を眺めながら私は言う。


「席につくのに時間がかかっちゃいそうだね。だけど、こんなに人がいるってことはケーキがすごくおいしいってことじゃない⁉」

「確かに、ショーケースにあったケーキどれもおいしそうだった!」


 レジ前には冷蔵のショーケースがあって、今いる位置からも陳列されているケーキを見ることができた。

 色とりどりのフルーツや、真っ白な生クリームがてんこ盛りに乗っているケーキたちが並ぶさまは、まるで宝石箱のようだ。


「うーん。どれにするか迷うよなあ。いっそのこと二個頼んじゃおうか」


 ショーケースを眺めながら、とても真剣そうに悩む良悟くん。

 芽衣は驚いたように目を見開く。


「え、良悟くん二個も食べるの⁉」

「食べたいけど、財布の問題があるんだよなあ。おふたりはひとつずつ?」

「そりゃあそうでしょ。女の子にはいろいろ事情があるのよ」


 確かに、お昼ご飯もばっちり食べたし、ケーキなんてカロリー爆弾、一個に済ませておいた方が賢明だろう。
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