ずっとキミしか見えてない
 さっきからふたりには笑わされてばっかりだ。

 こんな感じで、カフェにいる間私はふたりとたくさん話をした。

 注文してしばらくしてから店員さんに運ばれてきたケーキは、宝石のように艶やかなフルーツがてんこ盛りになっていて、シンプルだけど洗練されたデザインの木皿に乗せられていた。

 セットの紅茶は、アンティーク調のティーカップに注がれていて、安らぎを与えてくれる茶葉の香りを漂わせていた。

 少しほろ苦いけどくせのない味は、ケーキの甘さと絶妙に合っていた。

 おしゃれな内装のカフェ。

 おいしいケーキ。

 紅茶のいい香り。

 思わず笑ってしまうような楽しい話ばかりしてくれる、良悟くんと芽衣。

 最近は光雅くんへの想いが募り、常に暗い気持ちを抱えていたけれど、久しぶりに心から楽しめるひとときだった。


「コーヒー飲んだらトイレ行きたくなっちゃった。私ちょっと行ってくるねー」

「うん」


 芽衣が席を立ち、お手洗いへと向かった。

 私はケーキをすでに完食していたけれど、ダージリンティーが少しだけ残っていたのでそれをひと口飲む。
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