ずっとキミしか見えてない
 ティーカップを置くと、向かい合わせに座っている良悟くんとはたりと目が合った。

 どこか掴みどころのないような、ひょうひょうとしたいつもの笑みを浮かべていた。

 そういえば、私一度彼に告白されたんだった。

 あのあと彼があまりにも普通に接してくるから、気にしていなかったけど。

 しかも良悟くんは、私の光雅くんへの想いの詳細をすべて知っているんだった。

 不意にふたりっきりになってしまい、なんとなく気まずい気分になってしまう。

 手持無沙汰になって、もう一度紅茶を飲む。


「本当はふたりっきりで来たかったんだけどさー。紗良ちゃん、デートに誘っても来てくれ無そうだったから」


 そんな私に向かって、この人はまたとんでもないことをさらりと言う。

 良悟くんのことは恋の相手としてはもちろん見ていないけれど、目を見ながらそんなことを言われてしまうと、さすがにドギマギしてしまう。


「そ、そりゃあそうだよ」


 諦めることを決めているけれど、私はまだ光雅くんが好きなのだから。

 そんな状態で、他の人とデートなんてもってのほかだ。

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