ずっとキミしか見えてない
 何度も私に粉をかけるようなことを言うけど、本当にこの人私のこと好きなのかな?

 そんなことを思っていると。


「ごめんごめん! 遅くなっちゃった。トイレも長蛇の列で、なかなか入れなくてさあ」


 お手洗いに行っていた芽衣が戻ってきた。


「お店混んでるもんなー。つーかケーキみんな食べ終わっちゃったね。この後どうする?」

「あ! ねえ、カラオケでも行かない⁉」

「お、いいねえ! 紗良ちゃんもいい?」

「――うん」


 たった今まで良悟くんと割と真剣な話をしていたせいか、少し迷ったけれど、三人でいるのは楽しかったので、私は了承した。

 そして私たちはお会計をしてカフェを出ると、近くのカラオケ店で一時間ほど歌った。

 流行りの歌をそれなりにうまく、しかも面白く歌う良悟くんに、私と芽衣は笑いっぱなしだった。

 私もよく聞いているアーティストの曲を大きな声で歌うと、幾分か気持ちがすっきりした。

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