ずっとキミしか見えてない
 振り返る私と光雅くん。

 そこには、想像通りの人物がいた。


「良悟くん、おはよう」

「おっす、良悟」


 私たちが挨拶を返すと、良悟くんは私の傍らに来た。

 私は光雅くんと良悟くんに、挟まれる形となる。


「うわ。お前邪魔だなあ」


 光雅くんが大袈裟に顔をしかめて、やたらと低い声で言った。

 その芝居がかった感じがいかにも冗談っぽくて、私はくすりと笑ってしまう。


「あーはいはいお邪魔でしたかー。すみませんねえ。毎度毎度お熱いねー」


 良悟くんも光雅くんの調子に合わせて、わざとからかうように言う。

 ふたりは私を間にして顔を見合わせて、苦笑を浮かべ合った。

 良悟くんが私のことを好きだったことは、光雅くんも知っていた。

 よく考えたら複雑な関係な気がするけど、こうして三人でいる時や芽衣も加わった時は、以前のように友達同士仲良くやれていた。


「嫉妬深い男は嫌われるよ? ね、紗良ちゃん」

「えっ……。それくらいで嫌いになんないよ」

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