ずっとキミしか見えてない
 ウィンクしながら愛を告白されて、恥ずかしさのあまり言葉に詰まってしまう。

 すると光雅くんが真剣な面持ちとなった。


「そんなこと絶対ないから、良悟は安心して彼女探しなよ」

「うっわあっつ、なんだよもう火傷するわ! じゃあそろそろお邪魔虫の俺は退散しますー! じゃあ教室でねー!」


 そう言うと、ひとり駆け出して先を言ってしまう良悟くん。


「まったく、なんなんだよあいつはいつも……」


 良悟くんの背中を見ながら、光雅くんは呆れたように言った。

 ――そんなこと絶対ないから、良悟は安心して彼女探しなよ

 そんな光雅くんの言葉が、嬉しくてたまらなかった。

 私の気持ちを彼が信頼してくれている。

 でも私だって光雅くんを信じているよ。

 だって私たちは、八年前にたった一度会っただけで、お互いのことをずっと求めあっていたのだから。

 鞄にぶら下げている猫のキーホルダーが歩く振動に合わせてゆらゆら揺れる。

 光雅くんのお財布の中には、きっと同じものが入っているだろう。

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