ずっとキミしか見えてない
 その落ち着いた笑顔、ますます心臓がドキドキしていくから、こんな至近距離ではちょっとやめてほしい……と思ったのは内緒。


「別に。人に教えるのも、勉強になるから潰れるとは思わないよ」

「そうなの? それじゃあやっぱり頼みたいです!」


 勉強になる、と言ってくれているのなら大丈夫だろう。

 私は改めて彼にお願いした。

 ――すると、その時。


「おい! 光雅!」


 突然、光雅くんの前の席にいた良悟くんが、振り向いてそう言った。

 何故か恨みがましいような顔をしている。

 ちなみに芽衣はすでに席にはいなかった。トイレにでも行ったのかな?


「なんだよ、良悟。なんでそんなに睨んでんの」

「なんだよ、じゃねーよ! ずるいぞ! 俺も放課後紗良ちゃんとふたりきりになりたい!」


 光雅くんを責めるような口ぶりだったが、友人同士の冗談交じりの会話ということは分かった。

 私は苦笑を浮かべる。

 良悟くんは彼女がいるというのに、女の子によくこんなことを言う。
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