ずっとキミしか見えてない
 明るい茶色に染めた髪に大きなフープピアスを耳にぶら下げて、いろいろな女の子と仲良くしている様は、いわゆる「チャラ男」というポジションだろう。

 芽衣情報によると彼女のことは大切にしているらしいけど、なんだか不真面目そうな印象がある。

 一緒に居て楽しいから、友達としては好きだけど。

 だから今回のことも、チャラ男キャラの彼特有の冗談なのだろう。


「ふたりきりとか、そういうんじゃないから。ってか、お前放課後はサッカー部あるじゃん」


 光雅くんも、軽く良悟くんを受け流すような感じだった。

 しかし私は、彼の「そういうんじゃないから」って言葉にちょっとだけショックを受けていた。

 いや、でも確かにそういうんじゃないよね。

 光雅くんは、数学がわからなくて困っている私を、ただ助けようとしてくれるだけだ。

 うん、私も変なことを考えないで、ちゃんと勉強しないと失礼だよね。


「げっ、そうだった! じゃ―紗良ちゃん、今度俺とふたりきりになろう! 俺は数学は教えられないけど!」

「……えっ、あ、こ、今度ね」

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