ずっとキミしか見えてない
 頭もいい上に運動神経も万能だから、体育の時間に彼が活躍するとそこら中から黄色い声が響いてくる。

 そんな学園のアイドルに告白なんて、大それたこと今はまだ考えられなかった。


「えー。絶対うまくいくと思うのに、もったいない。それにやっと紗良が、『星の王子様』じゃない男の子に目を向けてくれて、嬉しかったんだけどなあ」

「…………」


 ごめん芽衣。

 光雅くんは「星の王子様」なんです。

 やっぱり私は昔好きになった人を忘れられないんです。

 なんて言ったら、余計告白を焚きつけられそうな気がしたから、もちろん黙っておくことにする。

 だけど、私と光雅くんのことをよく見ている芽衣が、うまくいくって言うなら、もしかしていい結果になるのかな?

 一瞬淡い希望を抱いてしまった。

 だけど、告白を断られて、せっかく今友達として仲がいいのにそれが壊れてしまったら。

 そんなの、考えただけで悲しすぎる。

 うん、やっぱり告白なんてやめておこう。


「あ、良悟くんだ」


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