ずっとキミしか見えてない

逃れられないドキドキ

 入学式の日に、私が騒いだせいで図書館の書庫の整理をやってから、司書の先生にたまに同じような仕事を頼まれることがあった。

 の人に頼むよりも、一度仕事をして勝手を知っている私たちの方が、先生も頼みやすいのだろう。

 良悟くんから彼女と別れたという話を聞いた日も、放課後に図書館での仕事を頼まれてしまった。

 だけど、芽衣も良悟くんも部活がある。

 テニス部もサッカー部も今年度初めての大会が迫っていて練習が厳しくなっているから、簡単には休めない雰囲気なんだそうだ。

 だから今日は私と光雅くんのふたりで図書室の仕事をすることになってしまった。

 そう、ふたりきりで。

 図書室の中の書庫は、とても狭い空間だ。

 司書の先生はどこかに行ってしまったし、こんなところで光雅くんとふたりきりなんて、緊張してしまう。

 心臓の音がやけに大きい。

 彼に聞こえちゃわないかな。

 そんなことが、心から心配だった。
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