ずっとキミしか見えてない
 授業の終わりに、先生がそう告げる。

 良悟くんが「げろげろ~」とふざけて言うと「お前は本当にがんばれよ」と、先生が冗談交じりで返した。

 クラス中が笑いに包まれる。

 今日からもう補修が始まっちゃうんだ。

 頑張ってやらないと……。

 テストが終わったばかりなのに補習になってしまって少し暗い気持ちになっていたけど、光雅くんに恥ずかしくないような自分になろうと、私は意気込んだのだった。





 放課後になり、クラスメイトのみんなは下校したり部活に行ったりして、教室の中には私以外の人がいなくなった。

 ひとり席に座り、生物の補習プリントに取り組む私。

 そういえば、良悟くんも赤点を取っていたからこのプリントをやらなければいけないはずなのに、どうしていないんだろう。

 忘れてるのかな?

 もしかしたら、サボりとか?

 彼のおちゃらけたキャラ的に、どっちもありえそうな気がする。

 なんてことを、問題の合間に考えていた私は、裏表にみっちりと設問が記載されているプリントを眺めて、深くため息をついた。

 私にはかなりの難問ばかりだった。
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