ずっとキミしか見えてない
 私は涙を堪えて、必死に笑顔を作ってそう言った。

 星の下で、初めて会った素敵な男の子との約束を、強く信じながら。

 ――その日を境に、私の頭の中は彼のことでいっぱいになった。

 たった一度だけ会った、名前も知らない男の子というのに。

 あの日から、彼の顔や声を思い出すだけで、胸が激しくドキドキした。

 最初はなんでそうなるのか、幼い私にはわからなかった。

 それがどうやら恋なんだと知ったのは、周囲の友人が色恋沙汰に目覚めてそんな話ばかりしだした、小学校高学年になった頃だった。

 どうしても彼に会いたくて、学校の友達や、習い事で一緒になった他校の仲間に、彼のことを尋ねたり、近所のショッピングモールに家族で行ったときに、必死で彼の姿を捜したりもした。

 だけど彼のことは誰もわからず、見つけることもできなかった。

 あの日に誓った約束を、私は強く信じていた。

 だけど彼の存在を、私以外誰も知らない。流星群の中で出会った彼は、私があの日に見た夢の中の出来事なのかとすら思える時もあった。

 もう二度と、会えないのかもしれない――。

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