3月生まれの恋人〜Birthday present〜
柊
『は?お前今なんつった?』
菜箸でおでんの具をつついていた先輩は
俺の吐いたセリフにピタリと手を止めた
『や、だから・・・
先輩は、“初めて”っつー女、抱いたことあるのかなぁ・・・とか』
ちょっと小綺麗な服に着替えれば、ホストも顔負けのいい男
そんな先輩が、ぽかんと大口を開けたアホ面で俺を見つめる
古びた屋台のテーブルに置かれた、最新モデルの俺の携帯
ディスプレイに浮かび出た数字にちらりと目をやってみる
2008. 3. 1
そう・・・
世間は今日から暦三月。
俺の記憶に間違いがなければ、明日は
明日は・・・俺の誕生日
『オイ!柊!?』
一瞬、遠くに行ってた俺を、先輩の呼び声が現実に引き戻す。
そう、とうとう明日は俺の誕生日!
まさか、自分が吐いた台詞に首を絞められることになろうとは・・・
あの日の俺は、夢にも思ってもみないことだった。