3月生まれの恋人〜Birthday present〜
『や、ゆづが相談だなんて進路相談以来?って気がしてさぁ』
莉奈は、やって来た店員に“ランチ一つ”と注文すると
お冷やのグラスを一気に空にして、そう言った。
進路相談・・・
そうかもしれないと思わず納得・・・
学生時代は訳あって、色恋沙汰には全く縁の無かったあたし
そういえば、こんな相談を莉奈に持ちかけるのは初めてかもしれない
『さすがにもう、進路じゃあないんだけどね・・・』
ないんだけど・・・
その先の言葉に詰まって、あたしも無意識にお水のグラスに手を伸ばす
微かにレモンの香りの漂うグラスをぐいっと傾けると
カラカラに乾いた喉に、冷たい水を流し込んだ。
どう、話したらよいのだろう・・・
『あっ・・あのね?』
既に一週間以上“彼の台詞”に翻弄されつづけているあたしは
ごくりと息を呑んで、莉奈を見つめた。