3月生まれの恋人〜Birthday present〜
開店休業のおでん屋台で先輩と二人、さんざん飲みまくった。

実はたいして酒に強くない俺
このところの睡眠不足がたたってか、いつのまにか座ったままうとうとと居眠りなんかしてたんだ



『オイ、柊!
とっくに8時過ぎてんけど大丈夫なんか?

お前、用事あるんじゃなかったっけ?』



俺とは対照的に、酒にはめっぽう強い先輩は、店じまいの手を止め、俺の頭を思い切りはたいた



『コラ、起きろっての!』


先輩の声にぼんやりと意識が覚醒する



『彼女んとこ行くんじゃね〜の?』



確実に同じくらいの量飲んだであろう先輩はやたらに元気で、俺に向かってそう言い放った



『え?…

てか、俺何してた?』



寝起き+アルコールで全く頭が働かない俺に



『寝てた。』



先輩は、悪びれもせずとんでもない事実を告げた



………

『やっべ〜!』



現実に気がついて瞬時に目が覚める!
携帯をおもいきり顔に寄せてディスプレイを注視するが、何故か真っ黒な画面

これって電池切れ?



『今、何時って言いました?』




ああ、時間?
先輩は腕時計に目を落とし、事も無げに言った



『ちょうど9時!』



『9時〜〜!?』



思わず、座ってたボロ椅子をふっ飛ばす勢いで立ち上がる

遅くなるつもりなかったから連絡してね〜!俺!



『金、明日払いに来ますからっ!』



笑いを堪えつつ手を振る先輩を振り返りもせず
俺はゆづの部屋を目指して猛然と走り出した
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