極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「さっき、会社からの電話はすぐに終わっていたんだ。……遅くなったのはこれを買いに行っていたから」

「そうだったんですね」

 だからあんなに遅かったんだ。

「四って、あまりいいイメージを持つ数字じゃないよね。……でも、バラの四には特別な意味が込められているんだ」

 そう言うと村瀬さんは一呼吸置き、愛しそうに私を見つめた。

「四本のバラの花言葉は、『死ぬまでこの気持ちは変わらない』」

 放たれた言葉に、トクンと胸が鳴る。

 彼が花言葉に込めた想いは、本当なの?

 村瀬さんの本音が知りたくて、瞬きすることさえできなくなり、ただジッと彼を見つめた。

「好きだよ、さくらちゃん。……キミのことが好きでたまらない」

「……っ」

 伝えられた愛の言葉に、涙がこみ上がる。それはずっと聞きたくて、聞きたくなかった彼の気持ちだから。

 だって私たちは、どんなに想い合っても一緒になれる未来なんて訪れないんでしょ? それなのに、どうして『好き』って言うの?

「偶然出会ったキミに、俺は少しずつ惹かれていった。自然な笑顔に、かけてくれた言葉。明るくて優しい一面に親思いのところ。それにさくらちゃんと話していると楽しくて、会えただけで幸せな気持ちになれるんだ。……こんなこと、初めてだった」

「村瀬さん……」
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