極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「その前に、坂本にもサプライズしないとね。商店街の人に大には私が帰ってきたことを内緒にしてもらっているの。大、どんな顔をするかなー」

 イタズラ好きのところも、相変わらずのようだ。大は素直というかピュアというか……。一々反応が大きいから、それをおもしろがって光美はよく大のことをからかっていた。

「きっと腰を抜かすほど驚いて、そして喜ぶと思うよ。……光美に会えるのを楽しみにしていたから」

 さり気なく大をアシストすると、光美はピタリと動きを止めて私の手を離してくれた。

「そっか。……じゃあますます坂本に会うの、楽しみだな」

 そう話す光美は本当に嬉しそうで、表情がやわらかい。

 昔からふとした瞬間に、こういう光美の顔を見てきた。そのたびにふたりは両想いでは? なんて思うことも多々あったけれど、真相を追及できずにいる。私がなにか言ったことによって、ふたりの関係がギクシャクしちゃったら嫌だし、それに光美は自分の気持ちに気づいたら、真っ先に話してくれると思うから。

「じゃあ行こうか、さくら」

「うん」

 彼女とふたり、肩を並べて大の酒屋へと向かった。


 案の定、突然目の前に現れた光美を見て大は腰を抜かしたものだから、光美とふたりで大笑いしたことは言うまでもない。

 そして私同様、光美ってば大にもチークキスするものだから、彼の顔は茹でタコのように真っ赤に染まった。
< 119 / 308 >

この作品をシェア

pagetop