極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「えっと、本当にさくらとはこの先も幼なじみ以上の関係になることは、絶対にないので安心してください」

 そう言って大きく頭を下げると、チラッと私を見て微笑んだ。まるで〝会いに来てくれて、よかったな〟と言うように。

「いや、こちらこそ悪かった。……勝手に勘違いをしてしまい」

 申し訳なさそうに言う村瀬さんに、大は左右に振る。

「いいえ、そんな。……それだけさくらのことを大切に想ってくれているんですよね?」

「ちょ、ちょっと大」

 ギョッとするようなことを言う大の腕を掴んで制止しても、彼は村瀬さんを見つめたまま続けた。

「さくらとは物心つく頃からの付き合いで、本当の兄妹のような存在なんです。だからどうかさくらのことを、なにがあっても幸せにしてやってください」

「大……」

 思いがけず大の本音に触れ、胸が熱くなる。

 もう、やだな。そんなこと言わないでよ。……泣きそうになるじゃない。

 溢れそうになる涙をこらえていると、村瀬さんは真剣な面持ちで言った。

「必ず幸せにすると約束するよ」

 力強い声で放たれた彼の言葉に、視界がぼやけていく。

 村瀬さんの言葉を聞き、大は表情を崩した。
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