極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「自分以外の男と一緒にいるところを見ただけで嫉妬した。……それにこの十日間、自分からさくらちゃんの中で答えが出るまで会わないと言ったのに、会いたくてたまらなかった。何度、こうしてキミを抱きしめたかったか」

 さらに強く抱きしめられ、ポロッと涙が零れ落ちた。

 どうしよう、胸が痛いほど苦しい。好きって気持ちが止まらないよ。

「私もです」

「えっ?」

 溢れ出た想いは口をついて出てしまった。

 もう迷いなんてない。私は自分の気持ちに正直に生きていきたい。

 ゆっくりと離されていく身体。そのスピードに合わせて顔を上げれば、目を丸くさせて驚く村瀬さんが、視界いっぱいに広がった。

 涙を拭い、彼に対する想いを伝えた。

「私では村瀬さんには不釣り合いで、叶うはずのない恋だと何度も自分に言い聞かせてきました。でもお弁当を買いにきてくれる村瀬さんに会って、話をするだけで最初は満足だったのに、好きになればなるほど、欲張りになるばかりで……」

「さくらちゃん……」

 涙が再び溢れる。だけど拭うことなく好きって気持ちを口にした。
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