極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
「家に上がってから、『やっぱり無理です』はナシだからね?」

「……はい」

 返事をすると村瀬さんは私の手を掴んだ。

「部屋は何階?」

「あ、三階です」

 彼に手を引かれ部屋の前に行き、バッグの中から鍵を探すものの、その手は震えていた。

 怖いからじゃなくて、緊張し過ぎて震えが止まらない。

 それでもどうにか鍵を見つけドアを開けると、部屋の中に押し込まれた。
 ガタンとドアが閉まると、彼は鍵を閉める。

「む、村瀬さん……?」

 真っ暗な室内で彼の名前を呼ぶと、私の頬に触れた大きな手。身体を震わせると、今度は唇を指で撫でられた。

 次第に暗闇にも目が慣れてきて、うっすらと村瀬さんの顔が見えてくる。

「好きだよ……さくら」

 愛の言葉を囁きながら名前を呼ばれ、胸が震える。そしてゆっくりと近づく距離。

 静かに瞼を閉じると、唇が重なった。

 触れるだけのキスを落とすと、次に啄むようなキスをされ、次第に唇を塞がれる時間が長くなる。

「んっ……」

 唇を食まれ声を漏らすと、彼の舌が割って入ってきた。

 口内を痺れるほど甘く犯され、恥ずかしいという感情を忘れさせられるほど翻弄されていく。
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