極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています

「すみません、ありがとうございます」

　狭いキッチンに並んで立ち、村瀬さんが洗い終えた食器を拭いて戸棚にしまっていると、彼がポツリと呟いた。

「近々さくらのご両親に、挨拶に行かないとな」

「え、うちの両親にですか？」

「あぁ。『娘さんと結婚させてください』って許しを得ないと、さくらと結婚できないだろ？」

　そう、だよね。私は村瀬さんにプロポーズされたんだ。それはつまり近い将来、彼と結婚して夫婦になるということ。

　ただこの先の未来もずっと一緒にいられたら……と、漠然としか描けなかった未来が現実味を帯びてくると、ふわふわとした不思議な気持ちになる。

　私……本当に村瀬さんと同じ未来を歩んでいけるんだ。

　喜びと感動で胸がいっぱいになっている私を見て、村瀬さんは目を細めた。

「まずはさくらのご両親に挨拶をして結婚の許しをもらってから、うちの両親にも会ってくれる？」

「……はい」

　そうだ、私も村瀬さんのご両親にしっかりと挨拶をさせてもらい、そして認めてもらわないと。

　まだ先のことだとわかってはいるけれど、彼のご両親に対面した時のことを想像すると、今から緊張してしまう。