極上御曹司の独占欲を煽ったら、授かり婚で溺愛されています
 村瀬さんに両親の都合を聞いてほしいと言われ、さっそく連絡をすると案の定、大喜びした両親。話はトントン拍子に進み、次の週末にふたりで栃木を訪れることになった。

 そして出発の前日の金曜日。

 村瀬さんに返事をした次の日には、光美と大にメッセージで報告済みだったけれど、商店街で会った大同様、改めて直接口で伝えたいと思い、光美に電話をかけた。

 メッセージでも言われたけれど、やっぱり口頭でも『だから大丈夫だって言ったでしょ?』と得意げに言われ、そして心から『よかったね、おめでとう』と言ってくれた。

『あ、そういえば坂本から聞いたんだけど、さくらを送り届けた時に村瀬さんと鉢合わせしたんだって?』

「うん、そうなの。……その時にね、大がすごく嬉しいことを言ってくれて」

 あの時の大の言葉は、きっと一生忘れられないと思う。その言葉を光美にも伝えると、彼女は感慨深そうに言った。

『へぇ、あの坂本がねぇ。でも坂本って一見へなちょこに見えて、いざという時は頼もしいやつだよね』

 あれ、これは思いがけず大の株を上げる結果に繋がったかな?

「そうなの、大ってここぞという時は男らしいの」

 光美の中で大の好感度を上げたくて、つい早口になる。
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